地球社会研究専攻で学んだこと

山本 訓子

(独立行政法人国際交流基金 ニューヨーク日本文化センター 日本研究/草の根交流・教育プログラム プログラム・ディレクター)

小さな頃から外国語や、海外・日本を含む文化に興味をもっていましたが、高校生のとき旧ユーゴ紛争のニュースを見て、文化の差異が要因となって紛争が起きることに衝撃を受けました。以来、異なる文化的背景をもつ人びとが共存するにはどうすればよいのかに関心を持つようになりました。大学では国際政治学を学びましたが、もう少し実際に生きている人びとの視点から多文化共存の問題を考えてみたいと思い、大学院進学を選びました。地球社会研究専攻を選んだのは、自分の関心に近い分野の先生方がいらっしゃったことに加え、いずれは実務の世界で働きたいと考えていましたので、理論だけでなく実践を重視する本専攻に魅力を感じたからです。

私は、オランダの移民社会を事例に、移民の社会統合政策及びその実態について研究しました。指導教官や演習を通じて学んだことは、何よりも学問的な思考の方法だったと思います。問題の所在はどこか、方法論は妥当なのかといった問いと常に向き合っていました。また、特定の理論やディシプリンにこだわらずに問題を考えようとしていたので悩みは多かったのですが、そこから、物事を多角的に眺めようとする姿勢ができたように思います。一方で、オランダでのフィールドワークの経験は、実際に行動することやコミュニケーションすること、つまり実践することの重要性にあらためて気づかせてくれました。

独立行政法人国際交流基金は日本と諸外国との文化交流を推進する各種事業を行っています。現在私は米国ニューヨーク事務所において、日本研究やグローバルな課題に対する共同研究・交流事業、市民交流への支援を行っています。業務の多くは大学やNPO等への助成ですが、助成事業では、どこにニーズがあり、意義や価値があるかを、専門家の協力も得ながら見極めること、そして主催者をサポートしながらともに事業を作り上げていく姿勢が必要となります。こうしたところに、在籍中に培った視点や行動力が活きていると感じます。

地球社会研究専攻は、グローバルな課題を学際的に扱い、経験豊富な先生方が教鞭をとり、個性豊かな学生が集まる場所だと思います。修士課程の二年間は極めて短いものですが、焦らず長期的な思いで、ご自身の道を切り開いていってもらえればと思います。